朝依しると 『VTuberのエンディング、買い取ります。2』 (ファンタジア文庫)

応援は見返りを求めるものじゃない。

けれども配信を主体とするVTuberは、いつどこにいてもファンが画面越しに会いに行くことができ、その機会がいつ訪れるのか、こちらが気を張り詰めているときさえある。

慢性的に続く相互関係は家族も同然だ。

だから、歪んでしまうのだろう。

一年ぶりに高校に復学した苅部業は、クラスメイトの影山花から、とあるVTuberを炎上させ、引退に追い込んでほしいと依頼される。

花は賢いし、理知的だ。そんな彼女にしてみれば、VTuber界隈で起こる訳のわからない炎上騒動がさぞ滑稽に映るのだろう。

嫉妬や馴れ合い。足の引っ張り合いにマウント合戦。

毎日が承認欲求お化けの縄張り争いだ。

元VTuberとして、VTuberの良さを妹に知ってほしい姉。VTuberなどという怪しい界隈から姉を遠ざけたい妹。すれ違う姉妹の間には嘘と誤解があった。人生を賭けて推していたVTuberを失った男の物語、第二巻。VTuberには明るくないので、どこまでフィクションとしてカリカチュアしているのかはわからないんだけど、「VTuberを見ていて楽しいと感じることがなくなった」という感覚はわかる気がする。しかし、インターネットを経由したゴタゴタはいろいろ見てきたつもりだけど、この界隈はなんぼなんでも治安が悪すぎるし歪みすぎではないか。登場人物たちもそれを当たり前のこととして受け止めているのも怖いよ! 自分では、うやむやなまま、誰も幸せにならないラストに至る道しか思いつけない。カルゴの魂にも、VTuberの魂にも安らぎあれ。続きを待つことにします。