花宮拓夜 『メンヘラが愛妻エプロンに着替えたら2』 (スニーカー文庫)

彼の行動を止められる人は、ここにはもう一人もいない。

数分後、彼女の泣き叫ぶ声が――痛々しくも家中に響き渡った。

メンヘラへの苦手意識を乗り越え、愛垣晋助は琴坂静音との「通い妻契約」を続けていた。そして季節は夏休み。ふたりは幼なじみと一緒に晋助の妹の誕生日祝いをしたり、プールに行ったり、夏を満喫していた。しかしそれがきっかけで、静音の父にふたりの関係が知られてしまう。

メンヘラとの半同棲ラブコメ第二巻。平穏になったほんわか時間をさくさくと読ませるなかで、ふいっと心の傷だったり、闇だったりを垣間見せる。絶妙なバランスだと思う。……と思わせといてからの後半。二人目のメンヘラこと父が登場してからはずっと読んでいて胃が重かった。これでもおそらく手加減、というかエンターテインメント寄せではあるのだろうけど、じわりとリアリティがにじみ出ていた。やっぱり総体的に見るとバランスが良かった、ということになるのかな。よいものだったと思います。