話題転換

中学の頃の話.図書室で『ドン松五郎の生活』を読んでいると,仲の悪かった*1クラスメートが近づいてきた.私は無視して読み耽っていたのだが,奴は書名を確認したのち,その潰れた蝦蟇のような顔からひとこと,「それ,最後には主人公死んじゃうんだぜ」と言い放ち去っていった.
当時の私はどっか抜けてたのか,その言葉を( ´_ゝ`)フーン程度に流しまったく気にかけることはなかった.ラストまで読んでも「ああ,ほんとだ.それにしても面白かったな」くらいの感想しか抱くことはなかった.奴の嫌がらせはまったくの無意味だったわけだ.
現在ならどうか.夢中で読んでいるところ,「その本のラストは○○が××なんだぜ」などと知らされたら,立ち去る奴の背に蹴りを入れ,倒れたところをモップで突くぐらいのことはするかもしれない.甘く見るなよ,突くところを一歩間違えばお前の人間としての尊厳をまるっきり持っていっちまうかもしれないんだぜい!! なんてな.いや実際にはしないだろうけど,つまりはそのくらいやりかねないということ.現実から離れられる(没入できる)度合いの強い作品であれば尚更.ネットでもネタバレがちょっとでも含まれそうな感想はできるだけ避けるよう心掛けている.
これを単に余裕がなくなっているとみるか,趣味人(ヲタ)としての成長とみるか.特に結論のある話じゃないんだけど,思い出したら腹立ってきたのでここに記した次第.
ちなみに蝦蟇の顔をしたクラスメートとは卒業以来一度も顔をあわせていない.おかげで私の記憶の中にある彼の顔は戯画化されますます人間離れしたものになっていくのであった.きっと実物を見ても分からないくらいに.

*1:というより向こうが一方的にこっちを毛嫌いしていたのだが,こちらもそんな奴を好くわけがない