秋山瑞人 『ミナミノミナミノ』 (電撃文庫)

ミナミノミナミノ (電撃文庫)

ミナミノミナミノ (電撃文庫)

南の島のボーイミーツガール.あとがきで触れられてるように,雰囲気はちょっと『イリヤ』に似ている.
トーリーの大きな動きは見られず,キャラクター・舞台の紹介と次巻以降への伏線張りに終始している印象の一冊.正直物足りなさを感じもしたが,ラストには素直に驚かされた.まさかそんな方向に話を持っていくとは.また,ちょっとした挙動やぽつりとつぶやいた台詞の入れ方にはっとさせられることが多かった.ほんとにうまい.
主人公正時の達観しつつもガキっぽいキャラクターが面白い.こういう思春期の少年を描かせたら作者は日本でもトップクラスだろう.一方でヒロインたる春留はまだ出番が少なくどう転ぶのかよくわからず(現在の印象は「つんけんした伊里野」).告白」のその後などこの二人を今後どう描いてくれるか非常に楽しみ.