谷川流 『涼宮ハルヒの陰謀』 (スニーカー文庫)

これは私の感覚的な,というか感情的な,というか,とにかくそういった曖昧なレベルの話なんだが.と前置きしといて,以下ネタバレ感想.
時間軸はほんのちょっとしたことで分岐する,未来は簡単に改変される,というのは古今のSFで散々使われてきたネタではあるけど,「既にある未来」から,「現状(=規定された未来)維持」だけを目的とした干渉を受ける話はあまりないんじゃないかと思う*1.けど,「過去は常に未来の干渉を受けねばならない」「そうしなければ規定された未来は訪れない」.このあたりの発想の転換になんとも言えない気持ち悪さを覚えた.理屈でなく感情の部分で.のび太発想の転換とでも呼ぶか,なんか怠け者の詭弁のように見えてなあ.アイデア自体はとても面白いんだけど,現在と未来の因果関係のもつれをかなり露骨に,力技で説明しているように見えるのが鼻について,素直に賞賛しにくい.
そんなわけで,どんな仕掛けをもってくるんだろうとわくわくしていた私には凄く違和感の残るラストだった.強く感情移入していればこその感想かもしれないけどね.

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)

*1:私はたいして読んでないから断言できないけど