夏緑 『ぷいぷい3!』 (MF文庫J)

ぷいぷい3! (MF文庫J)

ぷいぷい3! (MF文庫J)

面白かった.1巻から見ていくと,

  1. とりあえずベタなツンデレ出そう
  2. 事件を起こそう
  3. キャラクターを掘り起こそう ← 今ここ

ただベタを繰り返しているわけでもなく,巻を重ねながら着実に段階を踏んで話を作ってきているのがわかってきた.お気楽小説のくせに手堅い作りに感心,同時に好感を覚えた.まあベタであることには変わりなく,似たようなシチュエーションはラノベに限らずあちこちに転がっているんだけど,キャラクターたちにぜんぜん嫌味がなく,漫才調のやりとりのテンポの良さもあって,素直に感情移入することが出来てすごく楽しめた.特にシエラがどんどん可愛く思えてきてしまってあらあらまあまあな感じでした.キャラクターを掘り下げるだけでまだ何冊か続編が書けるんじゃないかしらと思える,良質なキャラクター小説でした.ストーリー的な広がりはこれ以上は期待できないかもなとは思うけど,こんな微温湯みたいな小世界もたまにはいいじゃない.
あと今回はイラストにも気合が入っているようで良かったです,と普段イラストはあまり見ない自分が付け加えときます.