日日日 『蟲と眼球と白雪姫』 （MF文庫J）

蟲と眼球(めだま)と白雪姫 (MF文庫J)

日日日がはじめて書いた「最終巻」．うーむ，収まるべきところに収まった感じか．インフレした物語をまとめるには無難な方法だったと思う．以下，感想を適当に．

• 「神」の正体についてここまで伏線が少なかったためか（もしくは予定外の終わらせ方だったのか），アクロバティックで説明過剰な結末に見えなくもなかった．
• 最終巻だけ見ると"セカイ系"という言葉を直球で体現したセカイ系だと思った．あまりに直球すぎて泥臭いというか，懐かしいにおいがするというか．嫌いじゃないけど素直に賞賛しにくい．
• シリーズを通して見ると，1巻，2〜4巻，最終巻といまひとつ一貫性が無かったなぁ．そもそも「〜テディベア」で綺麗にまとまった物語を無理やり繋げたような，悪い意味での強引さがあった．その強引さが最後まで話の足を引っ張っているような印象を受けた．

なんかネガティブな感想が並んじゃったなぁ．でも思い返してみると私の読後感はそんな悪いものでもなかった．何よりグリコをはじめとしたキャラクターの印象は強烈に刻みつけられて，そう忘れられるもので無し．
ただストーリーに関しては，短編を何本か読んで感じたことだけど，日日日は風呂敷を広げるのは得意でも畳むのはあまり上手では無いよね．この結末ももう二度と使える方法では無いだろうし．「次」にどうするのか期待して見ていきたい．