深見真 『ヤングガン・カルナバル』 (徳間書店)

ヤングガン・カルナバル (トクマ・ノベルズ)

ヤングガン・カルナバル (トクマ・ノベルズ)

現代日本に生きる若き殺し屋たち─ヤングガンの暗躍と日常の物語.
いやーこれは面白かった.善は善,悪は悪と白黒をはっきり割り切った描写を徹底しているおかげで話がえらく明快ですっきりと読めるのが良い.似たような題材なためか「ガンスリ」をちょっと連想した.ヘンリエッタやトリエラをマッチョにしてパダーニャを同情の余地の無い悪者に仕立て上げればだいぶイメージが近づくかもしれん.
日常や心理の描写はかなり強引かつ乱暴で,あちこち突っ込みを入れさせられたのだけど,それでもぐいぐい読まされてしまった.基本としてどこかで見たようなシチュエーションを組み合わせながら,独特の雰囲気が出せているのは興味深い.とりわけ悪役3人の密談の場面には爆笑した.食欲と性欲を同時に! その発想は無かったわ.肝心のアクション部分が少々長めでテンポに欠けたのが残念だったけど,そこ以外は文句なしに楽しかった.恐らくひとを選ぶシリーズなんだろうけど,少年の心を忘れないおっさんどもに特にお勧めしたい一冊.とりあえず問題はうちの近所じゃ続きが売っていないことだな.
ガガガ文庫のローンチャになる新刊も楽しみだ,楽しみだ.