冲方丁 『オイレンシュピーゲル参 Blue Murder』 (スニーカー文庫)

シリーズ 3 冊目は MPB の 3 人にスポットをあてた 3 編の短編形式.2 巻が大スケールだっただけに事件の規模が小さく地味な印象は受けるものの,三人娘の掘り下げと,収斂していくストーリーを例の文体でざくざく同時進行.一気に読ませられた.ひたすらラブラブだったりただただ切なかったりする三者三様の恋愛模様には顔を緩ませずにいられなかった.色気の無い文体でなんとねちっこいことをなさいますかほんとにもう.とはいえ,いずれも一筋縄ではいかないであろう 3 組のこれからを思うと複雑な気持ちにさせられたりも.「スプライト」と少しずつ重なり,過去の接点が明かされた物語.二つの部隊と 6 人の行く末はどうなるのか,見守っていきたいと思う.