長谷敏司 『円環少女《サークリッドガール》 ⑥太陽がくだけるとき』 (スニーカー文庫)

面白かった.メイゼルの出番がやや控えめな分,既刊と比べて少し勝手が違う印象を受けたのだけど,まあその控えめな会話がえらい濃いこと重いこと.絶望的な状況で描かれる戦闘の緊張感もさることながら二人の間の緊張感もいや増すというもの.地下と並行して描かれる地上のおっさんたちの思惑も暑苦しくて良かった.平和な家庭のパパと孤独な正義のテロリストのもわもわした距離感と行き違い.それをズバッとまとめる簡潔で残酷な紀子のひとこと.なんとも切れ味の鋭いことよ.