長谷敏司 『円環少女《サークリッドガール》 8 裏切りの天秤』 (スニーカー文庫)

賢者の石を求め,神音大系の騎士将軍アンゼロッタが五千騎の聖騎士とともに来日してきた.シリーズ八弾.
前半できずな,後半でメイゼル.対照的なアプローチと肉体的魅力の描写でもってそれぞれが持つ"女"の側面が強調される.そんな中で描かれるメイゼルときずなと仁の"悪"(=エゴ?).結果的にはなあなあで上手くいっていた関係がいかに不安定なものだったかが浮き彫りにされる.
今回も面白かったです.上記の"悪"と男と女のぶつかり合いもさることながら,魔法消去を逆手に取った都市部での戦いや聖騎士たちとの一騎当千も迫力十分.考えられつつもオーバーに開示されない魔法体系のルールがバトルにきちんと織り込まれ生きていて心地よい.
真実を乗り越えて新しい決意を手に入れた少女と,愛のために強固でまっすぐな覚悟を決めた少女.新しい説得力を与えられた三人の向かう次のステップはどこ? 続きがまた楽しみになりました.