灰原とう 『イメイザーの美術 2 泥の子どもたち』 (ガガガ文庫)

イメイザーの美術  2 泥の子どもたち (ガガガ文庫)

イメイザーの美術 2 泥の子どもたち (ガガガ文庫)

「子どもの創造力」をテーマに描くシリーズ第二弾.無自覚に世界を自分の主観で塗りつぶしてしまう力を持つ《恐るべき子どもたち》.ドロンコ大王は泥ダンゴを食べるんだ,そしてときどき人間を食べる.人間は昔,泥だったから.
感想自体は 1 巻を読んだときのものとあまり変わらない.長所と短所は良くも悪くもそのまんま残っている.無邪気さと,それの裏返しの残酷さや短慮といった子どもたちの描写はライトノベルとしては出色の出来.優しくもどこかドライな文体とマッチして独特の雰囲気を出していた.
反面でストーリーはどこかちぐはぐ.特に中盤からの異能バトルへの繋ぎが気になった.「異能力を手に入れた子ども」であればこう戦うだろう,という戦闘描写はしていたと思うんだけど,前半の印象が強いだけに,肉体を駆使した戦いには違和感がかなりあった.ほかにもキャラクターの出番が散漫でどこか感情移入しにくいなど,やっぱ全体的に荒い印象があるなあ.どこかが間違えばぐっと面白くなりそうな雰囲気はあるだけにもどかしいというか.