平坂読 『ソラにウサギがのぼるころIII 〜mad tea party 〜』 (MF文庫J)

夕月学園の学園祭,「赤月祭」の裏で起こる陰謀.2 巻を読んでから 1 年半の間が空いたけど読みながらわりとすんなり思い出すことが出来た.揶揄するわけじゃないけど基本的には百合だったりツンデレだったりと記号的組み合わせが目立つ話だから,かね.お約束が塗されたストーリーラインはサクサク,緩急よく読み応えは軽い.でも軽いノリに時折紛れ込んだ陽子,御厨,聖司,ほかキャラクターたちの心の声はわりとちくりと刺さる.真綿の中の針,白飯の中の小石みたくちくりがしりと地味だけどあと引くダメージ.ちゃらけた地の文に油断したなかで読まされるせいか思いのほか効果的にクる感じがどこか気持ちいい.4 巻はまだ買ってないけど次で完結みたいだし買ってみてもいいかもな,と思った.まあ購入のボーダーの低さに定評のある私の言うことなので話半分てことでひとつ.