竹宮ゆゆこ 『とらドラ10!』 (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

恐ろしいほどの強い欲求は、繋いだ右手から染み込んできているのだ。もっと強く握り締めて、たぐり寄せて爪を立てて、引き裂くみたいにしてやりたい。しがみついて、牙を打ち込んでやりたい。この飢えと渇きを満たしたい。そして噛みつきながら心の中身を叫んで叩きつけてやれたら、と。

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クリスマスの夜,手を取りあって逃げた大河と竜児.二人の出したそれぞれの結論とその結末.
シリーズ完結.お互いの気持ちをようやく伝えあった二人,それぞれの親や「大人」に対する決着,そして大団円.ハイになるのもウツになるにも最後まで全力.結論が出ればもう迷うことはないと,テンションメーターの針は常にどっちかに振り切りっぱなし.眩しすぎる青春に目がくらむ.……読むたび同じこと書いてる気がするけどまあ気にしない.
皆さんも書いてましたが,巻を追うにつれて増していくオトナたちの存在感が良かった.独身(30)がこんな重要な位置に立つキャラになるなんてまったく思わなかったもんなー.生徒たちの理解者で橋渡し役で,ある場面では読者と作者両方の代弁者にもなるという.恋愛したその先を見据えたとき,避けて通れぬオトナ社会のシガラミが少しずつ見えてくる過程で,スクールカーストなんぞにかまってられっか,こっちにゃもっと考えなきゃいけないものがあるんじゃ,おりゃー! みたいな勢いが出てくるのが 5 巻あたりからかな.そこからはひたすら楽しかった.