- 作者: 川又千秋,大本海図
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
1981 年の第 12 回星雲賞受賞作.話の主題は「地球人」と「火星人」のイデオロギーの対立.どこにいても地球を求め,「地球」を離れられなかった「地球人」と,与えられた環境に積極的に適応し,自らを変えていった「火星人」.頑固で愚かな「地球人」と聡明な「火星人」.頭が悪く心を開かない「地球人」の軍司令と,精神的に長けた「火星人」の長老.構図はこの上なく明確で悪くはないんだけど,終盤に進むに連れてやりすぎなほど露骨になっていく対照は鼻についた.嫌いじゃないんだけどこれはエキサイトしすぎじゃなかろうか.むしろ,その対立を生んでしまった「地球人」の罪や,「火星人」として生きていかざるを得なかったノヴ・ノリスの,愚かしくも悲しい行く末といった話の背景のほうが輝いて見えた.面白かったんだけども諸手を挙げて,という感じではなかったなあ,と.