仁木稔 『スピードグラファー3』 (ハヤカワ文庫JA)

スピードグラファー〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

スピードグラファー〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

同名アニメのノベライズ.東京都下を舞台にしたダークヒーローもの完結編.重苦しいやるせなさが物語をしっかりと一貫している一方で,ページの多くを割いているのは本能に忠実なバカマッチョどもが喰らい殺し暴れ回る場面.札束を喰らい薬でマッチョになって飛び回る代議士なんてギャグにしかならなかろうと思うんだけど,場を支配する重苦しい空気は良くも悪くもそのままなので,ギャグとして読んでいいのかシリアスなのか判断に迷う.結果として空気と場面との食い合わせが変に悪く,生まれる読後感はなんとも妙ちきりん.オリジナルはぜんぜん知らないので忠実なのか判断は出来ないのだけど,これ読んだ限りではさぞおかしな話だったのだろうなあと想像するほかないのでした.