長谷敏司 『円環少女 10 運命の螺旋』 (スニーカー文庫)

「──だって、あたし、ただ憎しみを浴びたくて、この世界を滅ぼしたかもしれないのよ」

円環少女 10 運命の螺旋 (角川スニーカー文庫) - はてなキーワード

核事件の首謀者である《九位》と《協会》への対策を画策する会議が開催されることになった.ヨーロッパの魔導師の《連合》最高議会議長アリーセと《協会》非主流派の魔導師,《公館》の集う会議の席で,本人から語られるメイゼルの罪と罰
メイゼルが《地獄》に堕とされた理由がついに明かされるシリーズ 10 巻.メイゼルの母イリーズの傲岸さと戦いっぷり.数十万の群衆が怒声や罵声を上げる神判の席で覚醒するメイゼル.圧倒的でした.あとがきによると「キャラクタ関係の描写はひかえ」目ということで,確かに既刊に比べると,シーンの激しさに対して肉体描写を自重している感じはあった.もしこれひかえてなかったらどうなっていたことかっ.想像するだけで恐ろしい.
今回は改めて提示される魔導師観を個人的に興味深く読んだ.「永遠に生きる魔法使いは、永遠に我が身がかわいい」に立脚した魔導師の倫理観,社会観の描き方のあたり.刊行は前後するけど『あなたのための物語』を読んだばかりだったので.