ドゥエイン・スウィアジンスキー/公手成幸訳 『メアリー-ケイト』 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

あなたのドリンクに毒を盛ったわ。

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離婚調停のためフィラデルフィアにやってきたジャーナリストのジャックは,空港のバーでブロンドの美女ケリーに出会い,彼女の作った「毒入りドリンク」を本気にせずに飲む.一方,CI-6 の工作員コワルスキーはある大学教授の頭部を取ってくるよう担当官から指令を受ける.ひとりのブロンド女*1を中心に回り出す二人の男の運命はいかに.
フィラデルフィアの HOT 過ぎる一夜.『解雇手当』が気に入ったので読んでみたらこちらも面白かった.ある条件により 10 秒で死ねるナノマシン(「自己増殖型超分子集合体」という訳語が素敵)を仕込まれたジャックは深夜のフィラデルフィアを走る走る.バカバカしさと緊張感をいい塩梅にミックスした激走はえらくキレが良い.じりじりした命の危機とコントみたいなやりとりとが紙一重.読み終わってみるとなんも残らないのだけど,エンターテイメントを心得た/徹した物語の読後感はかなり良かったりもする.くだんねー話,でも掛け値なしに楽しかった.

*1:原題は "THE BLONDE"