深見真 『ペイガン・ゴッドの白狼 探偵王女フジコ』 (富士見ミステリー文庫)

私はもっと世の中を面白くするために探偵やってるわ。なるべくたくさんの人間が、生きてるって超さいこーって思える世の中を作るために、私は戦うの。悲劇に酔うわけではなく、皮肉に偏ることもなく。ただ私は私のやるべきことを信じて、断じて行う。
──私はこの世に生きる人の本当の幸福を探してみたい」

Amazon CAPTCHA

第二次大戦を間近に控えた 1930 年代,東欧の小国ティルナパン.首都カサンドラを夜な夜な騒がせる少女探偵,野兎のフジコフジコ・ザ・ワイルド・ラビットことフジミ・クリスティ.その正体はこの国の王女,クラウディア・ティルナパンだった.探偵事務所の人材募集にやってきたのは,田舎から出てきた探偵小説好きの女の子.
ひとが狼になってしまう奇病「ペイガン・ゴッドの呪い」の真相とは.探偵王女と助手のコンビが活躍する「ミステリアス・アドベンチャー」.十代前半の女の子ふたりが主人公という,筋肉好きなこの作者にしては珍しいシリーズかも.日本刀少女,琉球武術を操る怪盗(正体が明かされるところで腰が抜けた)などが暗躍するハチャメチャなスチームパンク風世界で,女の子たちは常に恐ろしいまでに前のめり.物語そのものが腹の底からネアカというか,あとがきも含めて好きなこと全部やった,みたいな雰囲気がビシビシ伝わってくるのが良い.すげー楽しかったです.