森橋ビンゴ 『ぼくこい』 (スニーカー文庫)

考えてみれば、恋をしようなんてのも、今の生活に不安とか不満があるからこその発想で、こいつらにはそもそもそういうのがなかったのだろう。
漫画を読み、ゲームをする2人は、かなり幸せそうだ。
そう考えると、無理矢理恋なんてする必要はないのかもしれない。
ボクの恋は、果たして無理矢理なんだろうか?

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ボクたち非モテ男子四人組.毎日のように有馬の部屋に集まり,モンハンと漫画とエロゲ三昧で高校時代を浪費していた.こんなことではいけない,という漠然とした不安に捕らわれたボク.そんな折,ヤンキーである有馬の姉がやってきて,この「楽園」から出て行けと言い出す.四人のうちの誰かが,夏休みまでに彼女を作れたら追い出さないという交換条件をとりつけるが.夏休みまであと一ヶ月.
ぼくたちはそろそろ恋をするべきじゃなかろうか,略して「ぼくこい」.彼女のいない,というか面倒な恋愛をするくらいなら気楽なゲームや漫画を選ぶ童貞四人が,重い腰をあげて仕方なく恋をしてみる,という話.オタクの青春という名のファンタジーという意味で『ひと夏の経験値』に雰囲気が近いかもしれない.なんとなく好きな相手ができてやる気を出すふたりと,まったくやる気のないふたりを対比させながら,どんなにめんどくさかろうが,恋するっていいことだぞ,みたいなことをだるだるーんとしたテンションで描く.苦い話だしどうしようもない話でもあると思うけど,なんか妙にいい話を読んだような気にもなる.微妙に騙されてる気もするけどw,これは良いものでした.恋しようぜ,みんな!