伊東ちはや 『妹がゾンビなんですけど! 4』 (スマッシュ文庫)

妹がゾンビなんですけど!  4 (スマッシュ文庫)

妹がゾンビなんですけど! 4 (スマッシュ文庫)

「ふぇ? 何が?」
「何がって……」
呆然とする風貴の前で、
「変なお兄ちゃん。顔も変〜!」
くすくすと笑う血まみれの妹は、悲しいかな、化け物にしか見えなかった。

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ゾンビとして蘇った妹・姫ノ花たちは,クラスメイトであるセイラの山荘に招待される.その山荘には,セイラの姉,ユキノが療養中だった.ユキノとセイラの姉妹には,どうやら第三者には分からぬ葛藤があるらしく.
ジリジリする姉妹間の確執と,ジワジワと怪物化し,ついに一線を越えてしまう妹と.スマッシュ文庫史上最長シリーズの最終巻.毎度のことながら,シーンによってシリアスとギャグとの落差がジェットコースター並みに激しい.それでいて物語に自然と馴染んでいるのがすごい.今回描かれるゾンビ(妹)の「繁殖」の方法や「発情」の仕組みは,ゾンビものだと思うとオーソドックスかなと思いつつ,そこまでののんきな雰囲気からがらっと空気を変えるので非常にドキッとする.お兄ちゃんさえいれば他に何もいらない,というただただ子供っぽかった姫ノ花の成長を,地味ながら地道に繰り返し描いてるのは良かったなあ.シリーズ通して,キャラクターの特徴のつけ方はとてもうまくて,どんどん愛着が湧いた.できればもう少し続いてほしいシリーズではありましたが,楽しませていただきました.