佐藤友哉 『ダンガンロンパ十神(上) 世界征服未遂常習犯』 (星海社FICTIONS)

書くやつも、書かせるやつも、読むやつも、もうちょっとがんばろうよ。
尊敬するあのひとの本棚。パパやママが読めとすすめる本のセレクト。夏休みの課題図書。愛してやまない小説家の新刊。そうした場所に決して現れることのない本、それがノベライズ。


僕が今から、その常識を破壊しよう。

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今から二十四時間以内に俺を殺すか,この世のどこかにいる「かわいそうな牛」を見つけ出せ.偽者が言い放った「世界征服宣言」によって,超高校級の御曹司,十神白夜は全世界から命を狙われることとなった.超高校級の書記こと「青インク」とともにプラハにいた白夜に迫る元「超高校級の殺し屋」.さらに世界には「絶望病」が蔓延しつつあった.
佐藤友哉による「ダンガンロンパ」ノベライズ.登場人物を見ると「ダンガンロンパ/ゼロ」や「ダンガンロンパ霧切」と違って完全にパラレルな話なのかな? 皆の感想を見ると,鏡家サーガダンガンロンパを好き勝手に組み合わせた話になっているようで,そういえば「フリッカー式」のあの設定が根幹にあると思い当たる(「フリッカー式」しか読んでいないのだが).結果,良い意味ではっちゃけた,まさにサイコポップな本格ミステリになっていると思う.絶望と希望を喩えるのに『完全自殺マニュアル』をあげるあたりに同世代を感じる.なんとなくワーカムを想起させる筆記システムとか『屍者の帝国』のフライデーみたいな「青インク」とか読んだ者に『絶望病』をもたらす『絶望小説』とか,道具立てもボンクラに優しい.楽しゅうございました.中巻が出るのを待ってます.