神田夏生 『狂気の沙汰もアイ次第』 (電撃文庫)

狂気の沙汰もアイ次第 (電撃文庫)

狂気の沙汰もアイ次第 (電撃文庫)

『いいですか皆さん、よく聞いてください。我々は、あなた方を地球からこの@※★※→☆※星へと攫ってきました』

宇宙人によって,地球から遠く離れた星に監禁された七人の男女.脱出不可能な空間での集団生活で与えられるのは,十分な量の塩気の強い食料と,「飲むと殺人衝動がわく水」.宇宙人の目的は,極限状態における地球人の「アイ」を観察することだという.

アイの理解を求める宇宙人に監禁された七人が,極限で見たものとは.宇宙人による無期限の監禁! 飲むとひとを殺したくなる水! 「これは殺し合いではない」といいながらやたら殺すように煽り,さらに好き勝手にルールを作っては好き勝手に破る宇宙人! 「SAW」宇宙版といった感じだがこれは楽しいぞ.ここまでいろんなものを投げ捨ててやりたい放題やった小説は久しくなかった.それでいて論理的にはそこそこ一貫している(たぶん)し,変な理屈がないせいか意外なほど読みやすい.あまり考えずに楽しめるバカSFサスペンスが好きなら悪くない.楽しゅうございました.