神田夏生 『狂気の沙汰もアイ次第 ループ』 (電撃文庫)

狂気の沙汰もアイ次第 ループ (電撃文庫)

狂気の沙汰もアイ次第 ループ (電撃文庫)

「そうだ。おまえは人間の行動パターンを収集したい、愛の観察がしたいんだろ。なら……」

さっき浮かんだ、馬鹿な案。蜘蛛の糸を掴むような、微かな希望。

「僕がおまえに、愛を教えてやる」

生存者がふたり以下になれば脱出できるという条件を与えられて,名もなき宇宙人に拉致された9人の男女.「愛情」を知りたいと言う宇宙人に,武器と「飲むと生き返れる石」を与えられた彼ら彼女らの殺し合いが始まる.簡単に殺し,簡単に生き返る.殺し合いを終わらせるために取った手段とは.

『狂気の沙汰もアイ次第』と同じシチュエーション,ほぼ同じ登場人物たちが同じように殺し合う.変な方向にばかり思い切りがいいサスペンス.作者曰く「2でも続でもなくループです」とのこと.一巻の強烈なインパクトには及ばないけど,「飲んでおけば生き返る石」をはじめとするおもしろガジェットを駆使した殺し合いには独特の趣きがある.そして,地球人が宇宙人に語らう「愛」と,その結末に至る不思議な思考の流れ.なんというか,変な小説でございました.



kanadai.hatenablog.jp