深沢仁 『英国幻視の少年たち 6 フェアリー・ライド』 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ふ]4-6) 英国幻視の少年たち6: フェアリー・ライド (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ふ]4-6) 英国幻視の少年たち6: フェアリー・ライド (ポプラ文庫ピュアフル)

「君、本当に、どんどんやりにくい相手になっていくね」

「褒め言葉か、それは」

「わからない」本当にわかっていないような口調だった。「事実だ」

「私はただ、あなたに悲しんでほしくないだけだ」

「悲しみとは、なに?」

「甘いに、ちかい。だがきっと、もう少し痛い」

カイはウィッツバリーで対ファンタズニックの仕事を学ぶことになった.ハロウィンが近づきつつある,とある晩.ランスの身に異変が起こり,それを聞いたエドがロンドンから訪れる.

魔女の視た未来のビジョンに従い,妖精の国へと向かうハロウィンの夜.シリーズはここでひと区切り,「いい意味で、完結って感じがしない」最終巻.「妖精の国」の描写や雰囲気は他に類を見ないものだと思う.皮肉とユーモアの効いたテキストに乗せられ,得体の知れない異様な緊張感ともの哀しさが全体に漂う,本当に良いシリーズだった.SFやファンタジーのひとも完結を機に読んでみるといいと思うよ.