瘤久保慎司 『錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣』 (電撃文庫)

錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣 (電撃文庫)

錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣 (電撃文庫)

「言うものだな。どこから、その自信が出てくる!?」

「学歴ですね」

暴れ回る赤星壱号を追って,九州に上陸したビスコ,ミロ,パウー.九州のキノコ守りたちが囚えられたことを知った三人は,旧阿蘇山跡地・華蘇県に設置された巨大監獄『六道囚獄』にたどり着く.人造人間である紅菱の一族が囚えられたそこは,暴走した正義が支配する地獄であった.

ヒトに造られ,「進花」を止められた人造人間一族の王・ホウセンと,その子シシによる「王」の物語.法と王道の名のもとに,虐げられ押さえつけられる人造人間の一族.王の子であるシシは強い王に憧れながらも「少女」である自分にコンプレックスを持つ.政治的な正しさに配慮した部分があるのかなと感じたけれど,それが足かせではなくストーリーの爆発力と悲壮なクライマックスへの伏線になっているのはさすが.

倒すべき敵がわかりやすく強大で,魅力的に描かれるのは一貫している最大の長所だと思う.パワーインフレの懸念が外れたとは言わないけれど,ビスコとミロの輝きがいや増すし,信念のぶつかり合いはこれ以上ない火花を散らす.地獄の名前を冠する『六道囚獄』のわちゃわちゃした描写も楽しい.前の三巻で一区切りしたのでどうかなと思っていたら,勢いは衰えていなかった.良いものでした.



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