瘤久保慎司 『錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」』 (電撃文庫)

錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」 (電撃文庫)

錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」 (電撃文庫)

「おいッ! 後悔すんなよ! 三秒後には、燃えカスかもしれねえぞ!」

「しない! いつ終わっても。君と一緒なら!」

キノコ守りの里が,アポロと名乗る赤髪の男に襲撃された.出会ったものを《都市ビル》へと変化させ,《都市化現象》を引き起こすアポロによって,全日本同時多発都市化テロが引き起こされる.滅亡前,三百年前の姿を取り戻すと同時に,現在の姿を崩壊させようとする日本列島.ビスコとミロは,「現在」を侵食しようとする「過去」と対峙する.

三百年後の世界を《2028年》が侵略する.愛媛から神戸,京都,忌浜へと,日本中で暴れまわるビスコとミロの一大活劇,第一部完! 相変わらず面白かった,と言いたいところだけど,三巻に入っていきなり雑になった印象は強い.詰め込んだアイデアの数々はどれも最高,しかし十全に表現するにはページがぜんぜん足りていない,というかなあ.ここで終わりではないとはいえ,あまりにもったいない.これほどもったいない小説はほかにないと思う.初夏に出るという新章に期待しております.