枢木縁 『横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方』 (MF文庫J)

「……貴方は一体、何と戦っているんですか?」

「俺は世界と戦っているんだよ。SNSってのはだな。キラキラした投稿をして、世界中の奴らとマウントを取り合う戦場なんだよ」

SNS上の探偵クラスタで活動するインフルエンサー、横溝碧。ツイッターに上げた推理のインプレッションで食うことを目指していた碧だったが、現状とても生活できる金額ではない。生活費のため、碧は賞金総額百億円の脱出ゲーム、「マーダーノットミステリー」に参加することになる。

世界を牛耳る資本家たちが開催する、ツイッターと専用SNSと超兵器を駆使した悪趣味なデスゲーム。それをぶっ壊すのは、名探偵の曾孫にして現代の安楽椅子探偵、そして引きこもりでスーパーハッカーの妹。オーソドックスなデスゲームもの、というのも変な言い方だけど、徹頭徹尾、あらゆる部分が悪ふざけで出来ている。気になるところ、詰めてほしいところはかなーり多いんでおすすめしにくいんだけど、首尾一貫した姿勢は嫌いになれなかった。