久住四季 『トリックスターズM』 (電撃文庫)

トリックスターズM (電撃文庫)

トリックスターズM (電撃文庫)

「D」の大仕掛けに比べると小粒な印象は正直否めない.「いつ」「どこで」「誰が」を導くための謎解きがミステリの文法に比較的良く乗っかっていて,なおかつ描写があっさり目だったからかな.ミステリを読むたびに思うことだけど,真実を導く(そしてラスト手前で騙される)までの様式的(論理的?)な描写にはまだ馴染めない.なんか味気なく思える.ただ騙されること自体は嫌いではない.この作品の場合はエッセンス「魔法」の使い方が効果的で,綺麗に騙してくれるので好き好きー,と言えるのかもしれない.次巻でひと区切りということでどんな仕掛けを用意してくれるのか,楽しみ.
以下蛇足.周くんと先生以外のキャラクターが弱い,というか描き分けがわかりにくいと思っているのは私だけなのかなぁ.巡回先ではあまり見ない意見なんですが,私には5人娘の区別が未だにつきませんのです.