久住四季 『ミステリクロノIII』 (電撃文庫)

ミステリクロノ〈3〉 (電撃文庫)

ミステリクロノ〈3〉 (電撃文庫)

「……あれは大人のふりをしとるが、まだ子供だ。ただのな。だから、あまり無茶をさせてやってくれるな」

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時間を操る小道具・クロノグラフを集める高校生たちと天使の物語第三弾.今回は道具立てがムチャクチャ強引だし話もえらく都合よく進むし,ミステリとしてはあまりなあ……と思ったのだけど読み終わってから帯や袖をよく見返したらタイトル以外どこにも「ミステリ(ー)」とは書いてなかった.じゃあセーフ.
ミステリ風味はお話のスパイスとして,今回は慧の心境の移ろいがメインの巻になるかな.これまでの大人びた行動と,真里亜との距離感を見失ったことによる子どもじみた態度の不安定なアンバランスさが良かった.出来ることの範囲を明確にし,無根拠な万能感(今日日のラノベでありがちな)を理から遠い幼稚な行動で打ち砕くことで,よりキャラクターを「身近」に感じられる仕掛けがなされていた,かな.かなり好意的に偏った見方だと自覚してるけどね.テンポよくスリリングなお話を気軽に,という意味でも単純に良かったと思う.物語もそろそろ折り返しが見えてきた? ようだし,結末まで見守っていきたい.