山川進 『学園カゲキ!』 (ガガガ文庫)

学園カゲキ! (ガガガ文庫 や 1-1)

学園カゲキ! (ガガガ文庫 や 1-1)

第一回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作.序盤ではちょっと変わった設定の学園もの,細かい波乱はありつつもラブってコメる生活が綴られる.しかしその裏で実は…….さながらライトノベル版『トゥルーマン・ショー』(※重大なネタバレ)といったところか.ざっと感想サイトを読んだ感じかなり評判良かったんだけど,個人的にはノリきれなかったなあ.物語進行におけるご都合主義が過ぎるのは後半である程度フォローされているからいいとして,例えば拓海が演技の天才だったという設定が意味を持たない,例えば拓海と九月が惹かれあうようになる描写が少なく説得力が弱い,といった不満が.特に肝心の後半.虚と実,演技と本心が峻別がしっかりされてない,ように私には思えてすごく気になった.そらまあそのないまぜになった感情がこの話の醍醐味だろうからある程度は意図してぼかしたのかもしれないし,熱いラストも嫌いじゃないけど,これだけややこしい話をまとめようというならもっと理系的に詰めてほしかったなあ,というのが個人的感想.