入間人間 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』 (電撃文庫)

文中にしろカバー裏(つい今さっき気付いた)にしろ,どこかで見た「病み方」を大きく逸脱するものは見当たらず.それよりいちばんの問題は,みーくんとまーちゃんが「心の交流」をしているようにはどうしても読めなかったこと,かなぁ.勝手に病んで勝手に壊れて勝手に行動してるだけ.擦れ違いというのともまた違う,お互いを思いやるという行動が見て取れない.奇人変人揃いのほかのキャラクターたちのやり取りも,会話やコンタクトというよりは勝手な自己主張を披露しあっているだけのように思えてしまってどーにも.読みながらすごくイライラした.
そして「嘘だけど」のレトリック.地の語りを「嘘」に塗れさせることで読者の不安感を煽るような描き方をしているのはいいんだけど,いくらなんでも安易に使いすぎじゃないかと思った.主人公の言動に感情移入できないのはいいとして,物語自体も軽くなりすぎているような気がした.
読むひとによっていろいろな作品を連想しやすい作品っぽいのだけど,私が連想したのは(西尾維新田中ロミオ)/3 といったところかしら.それで察してもらえれば.評価が割れそうなタイプの話だなーとは思ったけど,私にはどうやら合わなかったみたい.