野村美月 『"文学少女"と慟哭の巡礼者《パルミエーレ》』 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

美羽登場で修羅場でござるの巻.素晴らしかった.
丁寧に,複雑だけど理に適う壊れ方をした人物たちの描写が痛々しい.特に,自分のため,そして心葉のために壊れるしかなかった美羽の過去のどうしようもない悲しさ.すべてを読み終えた今,凄まじく胸に迫った.それと気づかないようあちこちに張られた伏線と,ラストへ至るまですべて綺麗に回収してしまう構成も素晴らしいのひとこと.美羽とななせ,二人を前にした心葉の単純に割り切れない心境と行動.美羽と心葉の擦れ違い.ボロボロになりながらもきちんと繋がっている人間関係が修復され,救いが示されるフィナーレ.良かった点をいちいちあげればきりがない.ただただ,良かったとしか.