世界平和は一家団欒のあとに〈2〉拝啓、悪の大首領さま (電撃文庫)
- 作者: 橋本和也,さめだ小判
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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そう思わないか? 誰だって一度は、父親の背中を広いと思ったことがあるだろ?
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「ダサかったけど、カッコ悪くはなかったよ。超偉そうでさ、自信に満ちてた」
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面白かった.いろいろと不満が多かった1巻の頃から格段の進歩を遂げた印象がある.どことなくドライな空気が流れているのは変わらない.これは柚島の態度がそういう印象を持たせてるのかな.ただ,柚島はクールでとても可愛らしく見えるようになってきたし,星弓一家にも,今回の主役たる鶴見一家にも,前作より遥かに共感しやすくなっていたのは間違いない.
今回は家族の中でも,とりわけ「父親」にスポットライトを当てた一冊.悪の首領の座を追い落とされてショボくれた父親の自信喪失と家庭内での復権を描く.「悪の首領」を「会社」に置き換えれば,ホームドラマとしてそのまま通用しそうな筋立て.よく読みゃベタなホームドラマ兼ベタなヒーローもの兼ベタな青春ものというベタな話.しかしテキストがいちいちカッコよくて素敵.局面ごとに使われるテキストやキメ台詞が効果的でカッコよく,一見してベタな話に強烈なインパクトを与えていた.いやもう私はこういうテキスト使いが好き過ぎる.
いや正直ここまで化けるとは思ってなかった.これは続編にもぜひ期待したい.