堀晃 『マッド・サイエンス入門』 (新潮文庫)

マッド・サイエンス入門 (新潮文庫)

マッド・サイエンス入門 (新潮文庫)

1977〜1978 年に SFマガジンで連載されたエッセイ集.ロボット,宇宙論永久機関ほか SF で多用されるテーマをひとつずつ取り上げ,それぞれのテーマに沿った作品・解説書を挙げながら毎回ユーモラスに解説している.エッセイの名を借りた創作ノートの趣もあり,この手の良書が大抵そうであるように,良質なブックガイドでもあり.読んでいるうちに好奇心と知識欲が刺激され,無性に SF が読みたくなる.とりあえずヨコジュン*1,ヴァーリィ*2,『渇きの海』*3,『自然界における左と右』,石原藤夫あたりはいつか読まねばと思った.特に横田順彌は一冊も読んでいない体たらく.まったくもって私は SF じゃない.
あと先人たちは偉大だわぁと改めて実感した.去年読んだ古橋秀之のリリカルなアイデアを 30 年以上も前に,まったく比較にならないスケールで描いてるんだからとんでもねぇ.というかそれで喜んでいた自分が嫌になる.そりゃ「俺が SF だ!」とか迂闊に名乗れやしませんよねー.他人事のように思った次第.

*1:手元には何冊かある,はず

*2:何冊か積んでる

*3:積んでる