- 作者: 田中ロミオ,山崎透
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/04/19
- メディア: 文庫
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シリーズ三弾.妖精さんたち不在のもとで進められる都市遺跡のサバイバル探査行.楽しくも傍迷惑な隣人である妖精さんの新人類たる所以がそれとなく語られる.シュールなギャグのようでいながら底が知れない妖精さんたちの存在をさらりと文脈に挟み込む手管は流石,2 巻にもましてスマートすぎる.
今回は更に人類が衰退した原因,そして人類が繁栄していた頃の象徴と希望の一端がそれぞれ明かされる.P 子と O 太郎の正体が明かされる終盤,その託された想い,そしてラストには不覚にもうるっと来てしまった.ベタな「他人のノスタルジー」の一種なんだけど心のヒダを上手くくすぐってくれる仕掛けに嵌った.ツボを心得ている.オタネタが今までより多めだった気がするけどまあええことよ.
てことで面白かったです.シナリオライター出身の作家の中でも「小説家」としての位地を着実にモノにしてきている印象がある.もうすぐ出る新刊も楽しみであります.