「誰ぞ知るやこの道の先を。ひとつだけ言えるのは、人間が勝つということだがね」
「そうなんですか?」
「だってこれは、彼らによれば『どちらが人間か』という戦いだからねえ。少なくとも勝ったほうは、自分たちが人間だと名乗ることになるよ」
「負けたほうは、人間ではなくなる……」
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西暦2502年.26世紀の始まりを記念する「二二二二年第三次拡張ジュネーブ条約についてのアップデート会議」が準惑星セレスで開催される.様々な思惑の絡む会議の終わりに,《救世群》は人類に対して宣戦を布告.異星人のテクノロジーを背景に,全員に硬殻化を施した《救世群》は,地球へ進軍する.
《酸素いらず》に《救世群》など,あまりに細かく分かたれてしまった人類の明日はどっちだ.500年に渡り,もつれにもつれ切った人類の因縁が,ついに爆発を起こすシリーズ六巻,のPart2.「勝ったほうが人間となる」戦争に,それを(ひょっとすると)完全になかったことになかったことにしてしまう(かもしれない)存在が見え隠れ.人類とは思考の前提が異なるカルミアンの言行はどこか『人類は衰退しました』の妖精さんのようで,なかなかに気持ち悪くて面白い.ここから集大成へと向かっていく物語だと思うのだけど,良い意味で着地点が見えない.「正義」の在り処を問う小説は最近(特にライトノベルで)多い印象があるのだけど,さすがに前提条件とスケールが違うなー,というのが個人的に思ったこと.やー,素晴らしかった.読んでいないひとは今からでも追いかけてみても損はしないと思うよ.