清野静 『時載りリンネ! 3 ささやきのクローゼット』 (スニーカー文庫)

時載りリンネ! 3  ささやきのクローゼット (角川スニーカー文庫)

時載りリンネ! 3 ささやきのクローゼット (角川スニーカー文庫)

正式に"時砕き"になったリンネが受け取ったトランク.長いこと放置していた宝箱のような福袋のようなそれの中から出てきたひとつのドアノブを戯れにクローゼットのドアへ取り付けたところ,その先に現れたのは巨大な書物の塔.久高とリンネの新しい冒険が始まった.
シリーズ 3 巻.生き生きした等身大のファンタジー.時間の流れが「街」とは異なる「バベルの塔」での,子どもなりの知恵と勇気を駆使した冒険,そして少女ネリーとの出会い.失敗もして,ちょっと成長して,という.先人たちへの畏敬と愛情が見え隠れするような,ジュヴナイルの王道ラインを丁寧に丁寧になぞる話運びは気持ちよく頭に流れ,リンネとネリーをはじめとした子どもたちの,それこそ弾けるような魅力がプラスで込められている.楽しくならないわけがない.こましゃくれてるけどひねすぎない,いかにもな大人っぽい子どもな久高の語りと洒落た会話の調子は健在,ってか更に磨きがかかったか.
今回もすげー面白かったです.