至道流星 『雷撃☆SSガール』 (講談社BOX)

雷撃☆SSガール (講談社BOX)

雷撃☆SSガール (講談社BOX)

「人生論なら、私はニーチェ派かな。……こんな世界は狂ってる。人間なんて嘘つきばかり。所詮この世は地獄そのもの。でもそんなことはやっぱり当たり前のことで、大前提なのよ。そんなこと全部わかって、だけどその上で、何もかもぜーんぶひっくるめて『Yes!』って叫びたい。だから私は、世界が嫌いだったとしても、世界を良くしたいって思ってるわ」

雷撃☆SSガール (講談社BOX) - はてなキーワード

父の起こした零細ダイレクトメール代行会社を四苦八苦しながら経営している若社長・ジンは,キャバクラでリンという名の電波キャバ嬢に出会う.翌日,リンがジンの会社にやってきたときから変転ははじまっていく.
第 7 回講談社BOX新人賞"流水大賞"受賞作.理屈抜きのビジネスの天才がとんとん拍子に成功していく,というタイプの,バブリーでアッパーなサクセスを描いたよくあるビジネス小説,のライトノベル版.零細企業が一年もしない間に世界企業へ,の過程は置いておく*1として,それにヒロインやら妹やらライトノベルの味付けを加味しているのが何とも妙ちきりんな読み応え.要は島耕作サラリーマン金太郎ライトノベル的な貞淑*2を付け加えたものを想像してみればいい.
イケイケガンガンのノリが最後まで途切れないのは良かったと思う.作者は実際に会社経営者ということで,日常的な苦労やリアルな体験を交えた話はかえって描きにくかった(描きたくなかった)のではないかなー,と想像する.しかし変な話ではあるけどこれといった目新しさはないのが辛い.あと購入者はビジネス小説を求めて講談社BOX に手を伸ばすのではない思うんだが……*3

*1:どこまでハードなのか私には判断できかねるし

*2:色々な意味で

*3:自分も