十文字青 『ヴァンパイアノイズム』 (一迅社文庫)

ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫)

ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫)

クラスで孤立している目立たないクラスメイトの萩尾をちょっとした好奇心で追いかけたソーヤは,萩尾からひとつ協力のお願いをされる.萩尾は吸血鬼になることを望んでいた.
無気力少年と不全小動物的少女の秘め事.初十文字青でした.青春のはしかというか通過儀礼というか,それの一形態をどこかくたびれたような冷めた一人称で語る.あらすじで書くとつまらないであろうことをわりかしそのまま(つまらないまま)文章に起こしているのだけれど,気取りすぎず語りすぎないテキストは不思議とエンターテイメントしていて良くも悪くも引きずらない.……と私は思ったのだけど個人差は大きそう.良かったです.しかし雰囲気を楽しむ話だ(と思った)からこそ気になったんだけども,雰囲気を酌んでいないイラストはいらなかったなあ.