秋月大河 『革命のレオリア』 (一迅社文庫)

革命のレオリア (一迅社文庫)

革命のレオリア (一迅社文庫)

「ああ。わたしも父様と母様の話を聞くたび、わくわくしていた。だから、その学校に行きたいとずっと思っていたんだ。そして、学校に行ったら……」
皇花はまぶしそうに白い月を見上げた。
「わたしは『恋』をするんだ」

革命のレオリア (一迅社文庫) | 秋月 大河, 八重樫 南 |本 | 通販 | Amazon

6 年ぶりに再会した遠矢の幼馴染み──ファーストキスの相手──皇花は東京郊外にある鳳学園の「皇帝陛下」であるという.彼女は学園を革命するため,遠矢に獅子の騎士レオリアとして仕えてほしいと問答無用で頼みこむ.
電撃文庫の「騎條エリと緋色の迷宮」でデビューした作者の二年ぶりの新作.時代は現代日本でありながら,舞台は高い城壁に囲まれた学園.そこは貴族科・騎士科・市民科・使用人科を抱えており,自治を司る議会は有力な貴族科生徒に牛耳られ,市民科・使用人科生徒は圧政を加えられている.テーマ自体はそう変わったものでもないのだけど,率直に言ってアプローチが変.あとがきによると「お姫さまと騎士と現代ラブコメを全部やりたかった」ということで,律儀に真面目に詰め込んでいった結果こうなったのかなあ.しかも後半に行くと「現代」の部分がすっぽり抜け落ちる(忘れ去られる?).真摯さがあって嫌いにはなれないのだけど,変なもの読んだなあ,という気持ちのほうがどうしても強くなる.