アルフレッド・ベスター/中田耕治訳 『虎よ、虎よ!』 (ハヤカワ文庫SF)

"ジョウント"と呼ばれるテレポーテイション技術を手に入れ,25 世紀の人類はそのあり方を大きく変えていた.火星と木星の中間において難破した宇宙船に取り残され,姉妹船に見捨てられたあげく,未開の科学人種にとらわれ顔に虎の入れ墨をされた男,ガリヴァー・フォイルの復讐劇がはじまる.
ということで積んでいた新装版を読んだよ.ジョウントがインフラ化したことを前提に,テレパスや宇宙船,さらに思いつく限りの未来的アイデアをぶち込んだ世界は恐ろしくにぎやかで魅力的でまさに絢爛.まるであらゆる伝説の食材をごった煮にしたかのような.わくわくしながら,同時に一冊で読むには贅沢すぎると思いながら読んだ.話のつながりには「?」と首を傾げたところもあったけど,エンターテイメントとして古びた感じがさほどしないのはすげーよなあと.面白かったです.