新城カズマ 『15×24』 (スーパーダッシュ文庫)

15×24 link five ロジカルなソウル/ソウルフルなロジック

だったら、いっそ、人生をすべてゲームにしてしまえばいい。ルールを決めてしまえばいい。多すぎる自由を減らし、目的を狭めて。どうしてさっさと、そうしないんだろう?
どうしてぼくたちは、ゲームのように生きられないんだろう?

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15×24 link six この世でたった三つの、ほんとうのこと

「でも、そうやって一人の力で生き続けることと、独りぼっちだと感じることとは、ぜんぜん別なんです」
「どう違うのかね?」
「一人で生きていても、独りぼっちで生きていけるわけじゃないからです。
誰だって、誰かから必要とされるし、他の誰かと較べられます。それだからこそ意味が生まれます。
独りぼっちになると、それがなくなるんです──誰とも会わずに……関わらずに……つながらずにいると。
誰からも必要とされてないままでは、ぼくらは──ぼくは──彼女は──生きていけないんです」

15×24 link six この世でたった三つの、ほんとうのこと (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-6) - はてなキーワード

世の中には、どうでもこうでもつながっちまう場合だって、あるんだよね。
ほっといてくれって頼んでも。
逃げて逃げて逃げまくっても。
それでも、つながっちまってる。

15×24 link six この世でたった三つの、ほんとうのこと (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-6) - はてなキーワード

間違って発信された書きかけの遺書メール.それをきっかけに集まった 15 人の少年少女の織りなす,ライトノベル史上最も長い 24 時間の物語の完結.都市伝説を土台に絡めた物語は,我々がどうしようもなくつながっていることの証明と,知り得ないけれど厳然として存在している様々な事象がものすごいスピードで描かれ,やがてひとつの決着を迎える.自分/他人の存在に悩んでは葛藤を繰り返す少年少女の姿は昔と変わらない青春小説のそれだし,挙げ句の果てにやってくるクライマックスは,どこの青春ドラマだーってな突っ込みを入れたくなるようなものなのに,ぞくっとするカタルシスがあった.
エピローグにはぐっと来た.Twitterセカイカメラが当たり前に普及した 4 年後の未来,イコール 2010 年であることに,まさに現在進行形の物語だったんだと改めて実感した.たまたま 2005 年 12 月 31 日午前 7 時であっただけで,いつでも始まりうる,そして終わりうる物語だったんだと.いくつも存在する「閉じていない環」,あるいは「現実」のちょっとしたエピソードのひとつがこんな面白いものだったんだと.素晴らしかったです.いつか時間を置いて再読したい.そのときにはまた今とは違った感想を持つんだろうなあ.