虚淵玄 『アイゼンフリューゲル 2』 (ガガガ文庫)

アイゼンフリューゲル2 (ガガガ文庫)

アイゼンフリューゲル2 (ガガガ文庫)

いつだったか、エリックに言われたことがある。──いっそ龍に生まれていれば良かったのではないか、と。そんな過日の少年の言葉が、いま限りなく胸に重い。
そう、その通りなのだ。
どうして自分は、人間として大地に生まれ落ちてしまったのだろうか。

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戦争に倦んだ前戦争の英雄カール・シュニッツだったが,ヴィルドバッハ公国からの宣戦布告が,彼と実験機ブリッツフォーゲルを否応なしに戦場の空へと追いやることになる.
戦争を嫌いながら,戦争がなければ居場所がなかったであろう男の苦悩とやりきれなさを,駆け足気味に描ききった完結編.特筆すべきは全編に渡る息苦しさか.先人の様々な作品で培われてきたお約束や死亡フラグを組み合わせ生かして,畳みかけるように「戦争」の始まりと終わりを描ききっている.カールの半生記とするとこのくらいの長さ・早さになるのかな.とは思うものの,食い足りないというのが正直な気持ち.出来ればより時間をかけてじっくりと「戦争」を書いて欲しかったという.というかいつか書いてほしい.