赤城大空 『下ネタという概念が存在しない退屈な世界6』 (ガガガ文庫)

「お察しのとおりだぜ。あの施設は、国が望む性質を持った子供を、国が望む割合で、親にも秘密で“つくる”ことができる、そういう施設だぜ」
それが全国に普及し、その異常性も周知されないまま何十年も経過すれば……。
想像もつかない未来に、背筋がゾッとする。
下ネタやエグい性表現など比べものにならないほどおぞましいなにかが、僕たちの知らないところでいやらしくとぐろを巻いているような気がした。

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 6 (ガガガ文庫) | 赤城 大空, 霜月 えいと |本 | 通販 | Amazon

子供ができなくなる病気,《こうのとりインフルエンザ》と,それを治療し,国の宝である健全な子供をすべての夫婦に等しく授けるための施設《ラブホスピタル》.《公序良俗健全育成法》成立の裏にある,本当の思惑が明らかになりつつあった.
久しぶりにディストピアSFっぽさが戻ってきた第六巻.万能かと思われた下ネタテロリスト《SOX》首領の華城さんは自信を失い,代わりに理想を持った大人たちが行動を起こす.描き方に大小いろいろと突っ込みどころもあるけれど,異能力的なものに頼らず(そもそもそんなものはない)世界を変革しようとする物語の志向は好きだな.