西野かつみ 『かのこん14 〜どきどき☆らぶれっすん〜』 (MF文庫J)

「なーにがコンプリート・カップルだよ。どっちかっていえばコンクリート・カップルだろ。速乾性の。出会ったとたんに、速効で固まりやがってよ……けっ。けっ」

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春,出会いと進級の季節.無事に三年生になった耕太と無事に留年を果たし耕太の同級になったちづるのバカップルだったが,アイジンの望も交えた耽溺の日々にはこれといった変化は訪れないのだった.かと思いきや.
いつの間にこんなに出たのやらという感じのシリーズ 14 巻.ストーリーに意味がなくなりつつある反面で,テキストはどんどんと洗練されてきている印象が強い.今回も時事ネタ(ただしオタク向け)をギャグにふんだんに取り入れておりすいすいと読めて楽しい.「ロリコンは監獄に至る病」はなかなかの名言だと思うし.しかしナマモノ度合いもかなりのもので,一年後にはどこがどう面白いのか分からなくなっているんじゃねーか的な危うさもかなり含んでいると思う.これって貸本小説*1に近い存在意義の,刹那的な「今」を切り取った小説なんじゃね? みたいなまとまらないことを考えながら読み切ったのでありました.