- 作者: 鴨志田一,溝口ケージ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/06/10
- メディア: 文庫
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一番に思い出すのはやはりあの言葉……。
――やさしさにたどり着くために、わたしは今日を生きています
一体、どんな経験をすれば、こんなことを言えるようになるんだろうか。
――昨日のわたしよりも、今日のわたしがちょっとだけやさしい人間であればいいなと思いながら生きています
あのときのように、傷付いた人をあたたかく包み込むやさしさを持てるのだろうか。
12月に入ったころ.咲太は大学生になった初恋の相手,牧之原翔子と再会する.やむない事情から,咲太は翔子を自分の家に同居させることになる.一方で,中学生の牧之原翔子は入院を続けている.大学生の翔子が言うには,彼女は「時々大きくなる」のだという.
中学生の翔子と大学生の翔子.ふたりの翔子が同時に存在することの意味を知った咲太の決断と,それがもたらした結果.麻衣の誕生日からクリスマスまで,約1ヶ月間の出来事を描くシリーズ第六巻.
「やさしさ」に憧れるようになったこと.強烈な憧れを「初恋」と勘違いしたこと.生きたい,死にたくない,生きてほしいという願い.何が正解かわからないけれど,誰もが相手を想って,「やさしさ」を持って行動する.これぞ青春,という小説.胸にくるし,ラストにはうわーっとさせられた.これは続きを早く読むしかない.というか,リアルタイムだとここから4ヶ月待たされたのはきつかったろうな…….