谷山走太 『ピンポンラバー2』  (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (2) (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (2) (ガガガ文庫)

もっと強くなりたい。もっと卓球を楽しみたい。

湧き上がる衝動が、身体を前へと突き動かす。

肌の下で血液が脈打っていた。細胞が狂喜している。

そうして脳は急かしてくる。

速く、速く、もっと速く。

学内ランキング一位の男,「業焔の獅子」こと獅子堂煉が海外遠征から卓越学園に帰ってきた.時を同じくして,中国卓球界の新星「夢幻の天女」ことリュウ・メイリンが来日し,卓越学園に短期編入をすることになる.

ランキング一位の帰還と中国のスターの来日で,学園はにわかに騒がしい様相を見せる.青春スポ根卓球小説の第二巻.スポ根ものとして,王道のストーリーだと思う.卓球が何よりも好きで好きで仕方ない「音速の鳥」(ソニックバード)こと主人公と,卓球を続ける理由に葛藤する「氷結の瑠璃姫」ことヒロイン.ほとんどの登場人物に異名と必殺技があるという,少年漫画みたいな最低限のけれん味をまぶしたストーリーテリングが楽しく,それを支える卓球への確かな知識と,なにより愛が眩しい.良いシリーズだと思います.

それにしても,ヒロインがこれほどボコボコにされる小説も珍しい気がする.憧れの存在に無視され,徹底的に叩きのめされ,一度は絶望を味わされながらも,挑戦することを決める.正しく,もうひとりの主人公だったのだと思う.



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