早矢塚かつや 『文芸部発マイソロジー3』 (一迅社文庫)

文芸部発マイソロジー (3) (一迅社文庫)

文芸部発マイソロジー (3) (一迅社文庫)

「いろいろ……なんかここにきて、情報が詰め込まれすぎて……」

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第二文芸部が手に入れた,書くことで自由に世界を創成できるノート.それによって創られた神話世界クラフティア.神話世界とは何なのか.現実世界と神話世界の関係は.そもそも「世界」とは.すべての答えが明らかにされる.
世界中の神話の神々が異能と肉体でぶつかり合う,スーパー神話大戦完結編.良い最終回でした.……という書き方だと誤解を招きそうだけど,文字通りの意味で良かった.様々な事実が次々と,えらい密度・速度で明かされていく展開は,さながら情報の洪水.これまでのストーリーにおけるすべてを,この一冊で怒涛のように洗い流して,新しい意味を与えて作り替えていく.ある意味,神話っぽいと言えなくもない.明かされる「世界」の真実とその後のカタストロフィも,いかにもな厨二病的妄想(お約束)と,神話的カオスが融合した面白いもの.記紀神話や北欧神話ほか,いくつもある世界の神話に,特定の「編纂者」を定めちゃうのは乱暴じゃないかなぁっつう気はしたけど,それもこれも含めいろいろ分かってやってる感じはしたし良かったんじゃないかなと思う.でもラブコメ成分は最後まで弱かったよね,とも.
次回作も現在準備中とのこと,楽しみに待ちたいと思います.