六塚光 『迷い猫オーバードライブ 銀狼vsドッグニンジャ』 (一迅社文庫)

かつて黒垣の地には、黒垣忍者と呼ばれる忍者集団が存在した。
その源流は、黒垣山に住む隻眼の天狗、大光坊とされる。

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かつていたという黒垣忍者と,その源流である天狗が住んでいたという伝説が残る町,黒垣市.町にいくつも存在する忍術道場に通う高校生,犬飼真人は,ある日見知らぬ少女にスコップで襲われる.なんやかんやで姉の仇を探すという少女に協力することになった真人であった.
京都府南部〜滋賀県南部」あたりの架空の地方都市を舞台に,人を襲う狼と犬に変身する忍者が激突する.公園とか大きな家とかの風景とか,町の様子や生活なんかの地味で地道な描写が,作中で語られる伝説とか伝承とかに良い説得力を与えている.ミエヴィルや吉上亮を都市SFと呼ぶのなら,(主に一迅社文庫の)六塚光は町SFと呼んでいいのではないかな.